幼稚園中退、小学校不登校から始める中学受験日記

中学受験日記|発達障害と診断された子供を持つ親が悩みながら共に成長を目指す記録(夫婦当番制で記載)。同じ境遇にある家庭と共に歩む記録。

障害を持っている人間の方が他人に優しくなれるという皮肉(自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹)

   

子育てをしていて、子供の考えている事がよくわからない時があります。

「なぜ、そんな考え方をするの?」と疑問に思う事も多く。

 

息子からすると「母親がなぜわかってくれないのかがわからない」と思っているかもしれません。

人の事を理解するのは、つくづく難しいと思います。

 

 

自閉症の僕が飛びはねる理由

昨日、書店で一冊の本が目に留まりました。

『自閉症の僕が飛び跳ねる理由 東田直樹(角川文庫)』です。

話題になった本ですので、ご存知の方も多いと思います。

 

著者の東田氏は会話ができないほどの重度の自閉症です。

そんな彼がパソコンと文字盤ポインティングでコミュニケーションをとり、考えている事をまとめたのが本書。

13歳の頃に執筆した作品です。

あまり知られていなかった自閉症者の気持ちが書かれている事で注目を浴びました。

現在28カ国30言語で翻訳されているベストセラーです。

 

以前から気になっていた本でした。

ですが、ずっとハードカバーで売られていたので、購入まではいたりませんでした。

昨日書店で見かけたのは文庫版。

平積みされているのに気付き、購入しました。

 

 

涙の理由は?

早速家に帰ってきて、読み始めました。

数ページ読み進めただけで、なぜだか涙が止まらなくなりました。

 

内容は「大きな声はなぜ出るのですか?」、「すぐにどこかにいってしまうのはなぜですか?」といった全58の質問に、東田氏が一つずつ答える形で淡々と進んでいきます。

文章一つ一つは、平易なものです。

でも、東田氏の回答は、心に響いてくるものばかりでした。

 

涙の理由はわかりませんでしたが、一気に読みました。

特に印象に残った項目のいくつかを書き留めたいと思います。

 

 

自閉症の方にとって、一番辛いことは何でしょうか。

何が一番辛いですか?

みんなは気づいていません。僕たちが、どんなに辛い気持ちでいるのか。

僕たちの面倒をみるのは「とても大変なのよ」と、周りにいる人は言うかも知れません。
けれども、僕たちのように、いつもいつも人に迷惑をかけてばかりで誰の役にも立てない人間が、どんなに辛くて悲しいのか、みんなは想像もできないと思います

何かしでかすたびに謝ることもできず、怒られたり笑われたりして、自分がいやになって絶望することも何度もあります
僕たちは、何のために人としてこの世に生まれたのだろうと、疑問を抱かずにはいられません。

側にいてくれる人は、どうか僕たちのことで悩まないで下さい。自分の存在そのものを否定されているようで、生きる気力が無くなってしまうからです。
僕たちが一番辛いのは、自分のせいで悲しんでいる人がいることです。

自分が辛いのは我慢できます。しかし、自分がいることで周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです。

自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹(角川文庫) より引用

思い通りに言葉が喋れない、身体も動けない。

そんな絶望してしまうような毎日にも関わらず、一番辛いのは「自分のせいで悲しんでいる人がいること」とあります。

その心遣いがとても切ないです。

 

自閉症の方が”普通”の人間よりもずっと繊細で、日常の自然の中にも小さな幸せを見出し、生きていることも知りました。

光や水、緑といった、多くの人にとっては当たり前すぎて、何も感じない自然の中にです。

手のひらをひらひらさせるのはなぜですか?

これは、光を気持ちよく目の中に取り込むためです。
僕たちの見ている光は、月の光のようにやわらかく優しいものです。
(中略)
光を見ないわけにはいきません。光は、僕たちの涙を消してくれるからです。
光を見ていると、僕たちはとても幸せなのです。たぶん、降り注ぐ光の分子が大好きなのでしょう。
分子が僕たちを慰めてくれます。それは、理屈では説明できません。

自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹(角川文庫) より引用

 

どうして水の中が好きなのですか?

僕らは帰りたいのです。ずっとずっと昔に。人がまだ存在しなかった大昔に。
自閉症の人たちは、僕と同じように、そう考えていると思います。
(中略)
水の中にいれば、静かで自由で幸せです。そこには自分が望むだけの時間があるのです
じっとしていても、動いていても、水の中なら時間が一定の間隔で流れているのがよく分かります。

僕たちには、いつも目や耳からの刺激が多すぎて、1秒がどれだけで、1時間がどれだけなのか見当もつきません。
自閉症の人には自由がないのです。
なぜなら、僕たちは原始の感覚を残したまま生まれた人間だからです。

僕たちは時間の流れにのれず、言葉も通じず、ただひたすらこの体に振り回されているのです。
ずっとずっと昔に帰れたなら、きっと今のみんなのように生きられるでしょう。

自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹(角川文庫) より引用

 

お散歩が好きなのはなぜですか?

(前略)
一番の理由は、緑が好きだからだと、僕は思うのです。
何だそんなこと、と思われるかも知れません。
けれども、この緑が好きという感じは、みんなの感覚とは、ずれています。
(中略)
僕たちの緑は、自分の命とおなじくらい大切なものなのです。
なぜなら、緑を見ていると障害者の自分も、この地球に生きていて良いのだという気にさせてくれます。緑と一緒にいるだけで、体中から元気がわいて来るのです。

人にどれだけ否定されても、緑はぎゅっと僕たちの心を抱きしめてくれます
目で見る緑は、草や木の命です。命の色が緑なのです。
だから僕らは、緑の見える散歩が大好きなのです。

自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹(角川文庫) より引用

 

58個目、最後の問いでわたしの涙の理由がわかりました。

自閉症についてどう思いますか?

僕は、自閉症とはきっと、文明の支配を受けずに、自然のまま生まれてきた人たちなのだと思うのです。

これは僕の勝手な作り話ですが、人類は多くの命を殺し、地球を自分勝手に破壊してきました。人類自身がそのことに危機を感じ、自閉症の人たちを作り出したのではないでしょうか

僕たちは、人が持っている外見上のものは全て持っているにも関わらず、みんなとは何もかも違います。まるで、太古の昔からタイムスリップしてきたような人間なのです。

僕たちが存在するおかげで、世の中の人たちが、この地球にとっての大切な何かを思い出してくれたら、僕たちは何となく嬉しいのです。

自閉症の僕が飛びはねる理由 東田直樹(角川文庫) より引用

わたしの涙は、たぶん自閉症を抱えている東田氏の深い優しさに触れたから。

それは毎日ぎりぎりのところで生きているのにも関わらず、他者のことを思いやる無償の優しさです。

 

この最後の項目”人類が過ちを犯したから自閉症の人たちを作った”という内容、「そんなことは無い、間違っている」と思いました。

一方で、普通に暮らしている人間にはとてもたどり着けない境地にいるということが理解できました。

 

この本の内容は、全ての自閉症の方に当てはまるものではないかもしれません。

ですが、一人の人間が日頃どのような事を考えて生きているのか、理解できました。

 

 

子供のことも含め、他者の事を理解するのは難しいです。

正しく他者のことを理解するのは、人間には無理なのかもしれません。

でも、諦めたら終わりのような気もします。

東田氏のような優しさを持つのは難しいですが、逃げずに子供と向き合って生きていきたいと思います。

東田直樹氏公式ホームページへのリンク

 

 

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