幼稚園中退、小学校不登校から始める中学受験日記

中学受験日記|発達障害と診断された子供を持つ親が悩みながら共に成長を目指す記録(夫婦当番制で記載)。同じ境遇にある家庭と共に歩む記録。

インターネットと不寛容社会と閉塞感と‏

   

不寛容社会という言葉をよく聞くようになりました。

NHKスペシャルで「不寛容社会」について放送していたことを知り、興味を持ちました。

そこでNHKオンデマンドで番組を視聴。

 

色々考えさせられる事があり、内容と感想を残しておこうと思います。

NHKのHPでは放映内容の一部分を動画で見る事ができます。
動画で見る不寛容社会

 

 

不寛容社会 番組内容

スタジオには計20名程度の著名人・タレント・一般人が席に座り、関連VTRを見た後で意見を交わしていく形で番組が進行します。司会はNHKのアナウンサー男女2名です。

視聴者もツイッターやデータ投票で番組に参加しています。

 

1.社会の傾向

まずはじめのVTRでは、最近の「不寛容」が原因で起こった事件について列挙します。

熊本地震の時に発生した「不謹慎狩り」や、保護者や学校の教師から「虫が気持ち悪い」との声を受けジャポニカ学習帳の表紙から虫の写真が消えた事、日清カップヌードルのCMに過去に不倫をした芸能人が起用されたことに苦情が殺到しCM放映を中止した事、電車へのベビーカー持ち込みに対する批判などが紹介されます。

 

その中で驚いたのは、栃木の小学校に設置された「座った二宮金次郎像」。

歩きスマホを連想させることから、座る二宮金次郎像にしたと。

そこまで空気を読んで二宮金次郎を座られなくてはいけないものなのかと考えました。

 

以上のようなVTRを見た参加者が自らの視点で、次々と意見を言っていきます。

 

 

過剰反応社会

心理学者の榎本博明氏が、今の社会の傾向について考えを述べます。

曰く「過剰反応社会」になっていると。

過剰反応の連鎖に便乗する人間がいたり、連鎖を恐れて過剰反応をする人がいるのだということです。

 

ジャーナリストの津田大介氏は、一部の不寛容な人による行動の影響について解説します。

一部の極端に不寛容な人が行動してしまう。それによる弊害が非常に問題。まさに過剰反応。

過剰に反応する方々が行動しやすい環境になっている。ネットなどの情報環境の変化も影響している。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

 

番組では「炎上」の件数がここ5年間に10倍の1,002件に達したことを紹介。

炎上件数増加の背景には、スマホ契約の増加(約7倍)、ツイッター利用者数の増加(約5倍)など、個人のネット環境整備が進んだことが影響していると分析していました。

 

確かにスマホが普及したのは最近のこと。

昔は大手マスコミでしか情報発信ができなかったものが、個人でも簡単に情報発信ができるようになった影響は大きいと考えます。

 

 

社会の萎縮と同調圧力

作家・映画監督の森達也氏は「萎縮」と「同調圧力」の観点から今の日本の風潮について意見を述べます。

萎縮するから同調圧力が強くなる。

みんなが右に行く。みんなが左に行く。

そもそも日本は均質な社会なんだけれど、均質な社会がさらに加速している。

ものを言うことができなくなる。異論を言うことができなくなる。特にメディアの萎縮がひどい。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

 

作家・演出家の鴻上尚史氏も同じ観点からコメントをします。

一人一人の気持ちの総体が社会になる。

ひとりひとりがテレビ、新聞、雑誌含めて全部に反応していくから大変なことになる。

文化・国力・国民のエネルギー全部を奪って萎縮していく。むしろ萎縮した方が楽。

便利だけれど息苦しい国にますますなっていく。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

 

確かに「普通」や「一般」ではない事をすると、ひどく叩かれるようになると、萎縮して同調せざるを得なくなる気がします。

人の目を気にしすぎると「息苦しさ」を感じるのはよくわかります。

 

 

2.ネットで炎上・他人を攻撃する人の傾向

次のVTRでは、どのような人がネットで書き込み、声を上げ、攻撃をしているかについてまとめています。

取材をした先は、ネットで書き込みをする人の傾向を分析している、国際大学 グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一助教授です。

炎上に関わる人は客観的な属性は極めて普通です。

特徴としては、自分を間違っているとは思っていなくて、正義感をぶつけている人が大半

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

VTRでは東京オリンピックのエンブレム問題で書き込みをした人へのインタビューも紹介。

インタビューを受けた男性は最初は穏やかな内容を書き込んでいたものの、他の人も批判を書き込んでいることに同調して、激しい批判をネット上に次々と書き込むようになったということです。

背景には「正義感」があったと語っています。

 

不正を正すなど、ネットの果たす役割は大きいとするものの、行き過ぎると個人に対する過剰な制裁につながる危険性を山口氏は指摘しています。

住所とかを特定して攻撃を加えることで、攻撃を仕掛けている人の中では英雄視される「よくやった」と。

ほとんど罪の意識が無く、自分が英雄でありたいという理由でアップ(投稿)している。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

正義感を背景に攻撃をする、同じ意見を持つ人間も多いからもっと攻撃をする、どんどんエスカレートしてしまうということだと思います。

 

 

攻撃することで快感を感じる

VTRからスタジオに戻り、脳科学者の中野信子氏が、ネットで誹謗中傷を行っている人間の脳の中の反応について説明をします。

攻撃的なメッセージを送って相手が反応する。

自分の意見が相手の心を動かしたと確信が得られると、より楽しくなってエスカレートしていく。

中毒性が高い

脳内ではドーパミンがたくさん出ていて、快感を感じている状態

相手が反応すればするほど快感を感じる。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

攻撃をして、相手が反応することが楽しくなってくると。

麻薬みたいなものと言えるかもしれません。

 

番組では中野氏の見解を受けて、鴻上氏がネットで攻撃をする人の原動力は「承認欲求」ではないかと指摘します。

つまり、自分はここにいる。誰かに影響を与えている自分という存在の承認を得たいのだと。

 

人間誰しも認められないよりも、認められた方がよいと思っているはず。

ただ、欲求が極端であったり、他者への攻撃といった形で満たされるのであれば、残念なことだと思います。

 

 

報われていないという気持ち・欲求不満が他者への攻撃に駆り立てる

榎本氏は日本社会全体を覆っている空気感について言及します。

多くの人が「こんなはずじゃなかった」と感じている。社会が報われていないという感じ。

誰もが欲求不満状態になっている。

世の中に不満を持っている人が多い。

心にたまったものを発散したいと誰でもが思っている

そんなような世の中になってきている。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

 

世の中に不満を持っている人が多いという事に関して、今回NHKは独自に調査を行っています。

結果はNHKのホームページで見ることができます。
データでみる不寛容社会

調査結果では半数以上の人が、「心にゆとりを持ちにくい社会だ」、「いらいらすることが多い」、「自分のことばかり考えている人が多い」などと回答しています。

 

仕事や子育て、色々な事をしていればストレスもたまるのが普通ではないかと思います。

 

 

匿名性

スタジオに来ていた一般の女性は、ネットの匿名性の悪影響について批判をしています。

匿名で、その人を知っているわけでもないのに誹謗中傷をするなんて、卑怯と言うしか無い。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

このコメントに対し、お笑い芸人の厚切りジェイソン氏は「おかあさん、よく言ってくださった」と。

正義感があったとしても、匿名で強く攻撃するのは卑怯だと指摘しています。

実社会では周囲に合わせている人が、なかなか本音が言えないから匿名で言うのではないかいう意見もありました。

 

 

3.結局人間は不寛容な存在

次のVTRは、ネットで異なる意見がどのようにやり取りされているのかでした。

ツイッター分析等を行っている東京大学大学院の鳥海不二夫准教授への取材をまとめたものです。

 

題材は、昔ALSへの支援を目的にした「アイスバケツチャレンジ」。

アイスバケツチャレンジに賛成の人々のグループと反対のグループは、ツイッター上でどのように意見交換がされたのかの調査結果です。

 

結論としては、“議論にならなかった”ということでした。

というのは、反対派は反対、賛成派は賛成で、最後まで自分達の意見を言っていただけだったと。

およそ1割程度の人間しか他の立場の人の意見を聞いていなかったとの結果に。

 

ALSチャレンジでは、ALS患者の方が「企画に感謝している」事をツイートしても、反対派は誰一人としてリツイートしなかったようです。

番組では、患者と反対派には大きな壁があって乗り越えることができなかったと表現していました。

 

 

ネット上で議論が成り立たないのは司会がいないから

津田氏はネット上で議論が成り立たないのは、司会役がいないからだ指摘します。

鴻上氏は、ネットでは会話のキャッチボールが難しいことに原因があると言及。

お互いが言いっぱなしで終わってしまって、聞く機能が駄目なメディアであると。

ネットで会話する事で、より問題を複雑にしてしまうことがあると。

 

また司会者は、もともと人間というのは同じ考えの人と結びついていく傾向にあることを指摘しています。

 

 

日本の教育内容を変える必要があるのでは

評論家の宇野常寛氏は日本の学校教育について批判をしていました。

この国の教育は、与えられた箱の中の空気をいかに読むかばかり教える。もっと教育をちゃんとした方がいい。

自分に合った箱を探す訓練をする。

コミュニケーションの考え方を変えていった方がいい。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

確かに、皆が同じことをやっていくという教育方法には息苦しさを覚えます。

空気が読めない子供はどうしたらいいでしょうか。

 

 

不寛容は生存欲求

不寛容というのはもっと人間の根本にある欲求だと森氏は言います。

そもそも不寛容というのは生存欲求なんです。

他者は怖いし。

ではどうすればいいかというと、もっと後ろめたさを持てばいいと思う。自分に対して。

特に自分が持ってしまった正義や善意に対してもっと疑いを向けると言うことが必要。

 

引け目です。

引け目を持てば他人に対して強い言葉を吐いたりできなくなるんじゃないかと思います。

そうすれば少し社会が変わるんじゃないかと思う。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

自分の考えが絶対ではないということに気付くこと。

正義や善意であっても、それは絶対的なものではないということを心に留めておくことが必要ということだと受け止めました。

 

 

残念だけど人間は不寛容な存在

脳科学的にはどう考えればいいかと司会から話題を振られた脳科学者の中野氏は、「人間とは不寛容な存在である」と説明します。

残念ながら人間は不寛容な存在ということは否めない。

わざわざ”寛容は美徳”と言わなければならないほどに不寛容と言える。

どんなに寛容だと思っても、必ず誰かに対しては不寛容です。

だから不寛容だと知って行動していくことが重要。

NHKスペシャル 不寛容社会 より引用

 

結局スタジオの結論としては、「分かり合えないことを分かり合う」でした。

なんだか禅問答みたいですが。

要は、他人とは分かり合えないことを前提にして、コミュニケーションを取っていくべきということでした。

 

 

感想

番組では、ネットは良い部分もあるし悪い部分もあることについても触れていました。

個人が思っていること、考えていることを発信できるようになったことは良い事だと思います。

 

一方で、ネットでのコミュニケーションは、なかなか難しいと感じます。

文字だけでのやり取りであると、意図したことが伝わらなかったり、ミスリードにつながったり。

 

不寛容社会はネット内に留まりません。

でも、ネットを中心に事件が発生しやすいのは、榎本氏が指摘していた通り日頃の欲求不満・報われない気持ちが気軽な情報発信媒体であるネット・匿名性によって助長される面があるからかもしれません。

 

ネットでは本名が出ないといっても読むのは人間です。

自分と同じように喜怒哀楽を感じる人間です。

大切な家族や友人と同じ、生きている人間です。

 

ネット上の書き込みであっても、リアルで会っても同じことが言えるような、そんなコミュニケーションを心掛けたいと番組を見て思いました。

 

 

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